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春が来る

朝から職員室で呼ばれて、
振り返ったら、ゆい(仮名)が泣いてた。

彼女が何で今泣いているのかはわからないけれど、
彼女が泣く理由なら、思い当たりすぎた。
明るくて元気で素直な彼女が、
大きくて重たいものを抱えているのは感じながら、
それでも、彼女のいちばんつらかったことに、
気づいてあげられなかった自分を知ったのは、つい最近のことで・・・。

「おいで」って連れて行って、保健室の中、
ゆいが、胸の中の思いを、もしも吐き出したいなら受けるつもりでいたけれど、
たぶんまだそんな時期にも至っていない。
喋らせることがいいことなのか悪いことなのかもわからない。

だから少し待って、喋る分だけを聞いて、
そのあとしばらくの間、黙ったままの時間が過ぎたあとで、
ふと思い出して、色画用紙とはさみと、
小学校の先生から分けてもらってあった型紙を、持ってきた。


無理に事情を聞きだしたところで、
今すぐ私が彼女を救える術があるわけでもなく、
せめて出来ることがあったとしたなら、
穏やかで優しい時間の記憶を、30分ぶん、一時間ぶん、
増やすことくらいで・・・・・・・・・。



緑の色画用紙で、黙って草の形を切り抜いたあとで、
「ゆいちゃん、蝶々、切ってくんない?」って言った。
「明日から三月だから、廊下に飾るんだ」って、はさみと型紙を渡して…。




彼女の座る窓辺の、ひだまりのあったかい場所で、
二人で黙々と、花や葉っぱや蝶々を、切り抜いていた。


「先生、蝶々、いくつ作る?」
「ねぇ、先生、違う色の桜も切っていい?」
「先生、雲も作ろうよ」


そんなゆいのことばに答えながら、
はさみを動かしながら、
陽射しの明るさとあったかさを感じながら、
癒されていたのは、たぶん私のほうだ。

ゆいのしあわせな記憶を、ひとつでも増やしたくて、
私の、しあわせな記憶が、ひとつ増えていった。
ゆいがこのことを憶えているかはわからないけど、
私はきっと、この今の空気を忘れないな・・・って思った。


ぎゅ…っと胸をつかまれるようなせつなさを感じながら。


明るい、あったかい場所で、
なんだか泣きそうになりながら………。



幼稚園の子どもがこさえるような、
草と花と、葉っぱと蝶々と、雲を並べた稚拙な貼り絵を作って、
ゆいと二人で、達成感を味わった。



迎えに来てくれたママは、初対面だけど思っていたよりしなやかな人たった。
担任の先生に話す声が聞こえた。
「情けないですよ、あれだけ啖呵切っといて、娘守れなくて・・・。
でも、ここからは私がサポートして行きますから」って。
お母さんもこれから大変だろうと思うけれど、
心強いことばを聞いて、
最悪の中でも、最善の方向に
動いていこうとしているんだなと思えて、少し安心した。


ゆいは、弱虫じゃないから、
きっと、大変でも、時間がかかっても、
しあわせに向かって頑張れるだろう。


春にはたぶんお別れになるゆいに、
結局、何もしてあげられなかったけれど、
せめて、私がもらった優しい記憶のぶんだけ、
「ありがとね」って、伝えた。





二月も今日で終わるね。
また、今年も、春が来るんだね・・・・・・。
# by noraneko_89 | 2008-02-29 23:40 | そして、ありがとう

ちょっと自己満足?

久しぶりに救急車を呼びました。職場で。

3時間目が終わったあとだったかな・・・。
「足の爪が剥がれそう」という女の子の処置をしていたら、
「担架はどこですか?」と、教員が現れました。
担架の場所を教え、持って行ってもらった直後、
今度は女性教師が「何か血を押さえるようなものありますか?」と。
滅菌ガーゼのパックをいくつか渡して、
爪の剥がれそうな彼女の処置。
心の中で「外傷があるわけね」と思いながら・・・。

すると、その彼女と、つきそいの女生徒は、
「センセイ、慌てないの?」と
疑いの混じったような視線を向けてきました。
彼女たちには、私が異常にのんきに思え、
その姿が奇異に映った模様。

「私が慌てたら意味ないでしょ」と
淡々と処置。そこへ、内線電話が鳴り、事故の報告。
「今、担架隊が行きましたから」とだけ伝えて
また淡々と処置。
「センセイ!心配じゃないの?」と言いたげな、微妙に非難の混じった
目線を感じながら…(笑)。


やがて、被災者到着。
いや、実は怖かったよ、「何が運ばれてくるんだろう?」って
ホントはドキドキしていたのよ^^;


休み時間に、二組の追いかけっこが接触、
各組の一人ずつが激突、
ひとりが跳ね飛ばされてよろけたあと、柱に頭をぶつけ、
額のこめかみ寄りに、25~30㎜の裂創を負った
…ということだったようです。


「憶えてますか?どんなだった?」
ケガ人は、はっきりと状況を説明、意識に問題なし。
痛みをたずねたら「ヒリヒリする」という言葉が返ってきて
また少し安心。
顔の傷のわりに、出血が少なくておさまっていたのがさいわいで、
そのまま傷口の仮止め処置その他諸々。
ほぼ心配はなさそうだったけれど、
職員が搬送するには荷が重い怪我だし、
大事をとっての救急車対応となりました。


「縫うなり、テープで止めるなりの処置は必要」
との判断で送り出した子どもでしたが、
「最初の処置がいいので、このまま治療しましょ」
ということになり、縫合もせず、費用もお安く済んだらしいです。

「最初の処置がよかったから」
そのひとことに、実は私は、ものすごーく喜んでいました(笑)。
元気が出るわ。最高の褒めことばです。
そのひとことがもらえたら、応急処置者としては本望。

処置自体は、同業者なら誰だってそうするでしょ…という
基本的で「できてあたりまえ」の処置なのですが
「それでも嬉しい」日頃ほとんど評価されるチャンスのない私なのでした。あはは。
# by noraneko_89 | 2007-06-28 23:53 | 日々の暮らし

素敵に育て!

6時間目も始まって、「もうこれが終われば子どもたち帰るだけだし」と、
気を許してちょっとコンビニに用事を足しに外出。
20分ほどして戻ったら、玄関の前にK先生。
車を降りて「ただいま~」と歩いていくと
「今、A子が授業中に吐いちゃって、お迎え待っているんです」とのこと。

「ひぇ~、肝心なときに留守してごめん!!それにしても、
ちょっと席をはずしたときに、ピンポイントで事件は起きるね」と、
保健室に駆け込むと、彼女は他の女性教員に付き添われて
着替えて保健室でお迎えを待っているところでした。

役に立たなくて申し訳ない~!と思いつつ、
ある意味、ゲ○現場に立ち会わずに済んだことに安堵していたのも、実は本心。



無事に保護者に引渡し、放課後の職員室。
「大変だったね」とその時の授業者と連絡を取り合っているとき、
「いやぁ、周りが冷静だったんで助かったよ」と彼。
誰も騒いだりしないで、大人の対応をしてくれたんだね。
格好のいじめの材料にもなってしまう可能性を持つ、この手の出来事、
本人のからだももちろんながら、精神的打撃も気になるのが中学校です。
だけど案外、こういうときに、
子どもたちの「思いやりある態度」に触れることが多くて、感心します。

今日はさらに、驚くことがひとつ。
現場に駆けつけたらしいK先生が
「Mのヤツ、頑張ってましたよね、こーやって」
…と、両手を前に差し出すポーズをしていました。

どうやら、クラスメイトのひとりが、
彼女の「ゲ○」を両手で受け止めてくれていたらしいのよ。

…なかなか、出来ないよね。
そう、こんな子だっている。
表に出るのは、困ったとんでもない中学生ばっかりだけど、
決してそれが全部じゃない。


なんだかちょっと、嬉しい気分になる話でした。


あとで、こっそり、彼女のことを調べてみると、
弟妹が3人いる、祖父母との8人家族。
家の中に、いろんな年代の人がいて、
タテ・ヨコ・ナナメのいろんな関係がある、
そういうのって、やっぱり大事なのかもしれないなぁ…なんて、
思ってしまいました。


…さて、これで月曜日に腹痛・嘔吐が続出したらノロだな^^;
# by noraneko_89 | 2007-02-16 22:42 | 日々の暮らし

タッチ!

今の2年生は、本当に子ども。幼い。特に男子。

「キミが今、発達危機ってヤツに直面しているのは、よぉーくわかるよ。
だけど、その発達課題は、『14歳』じゃあなくて、『9歳』だよねぇ」
と思うことがしょっちゅうある。

そんなわけなので、手はかかりまくって、決してラクじゃないのだけれど、
妙に「かわいい」ところがあって、それが教員集団の救いだったりもする。


さて、今日の昼休みは、2年生の男子が数名やってきた。
例に漏れず、身長や体重を測りながら、あれやこれや楽しそうに話している。
その中で、ひとりが声を潜めて言った。
「Mたち、まさか、保健室までは来ないよな・・・?」
「こないだろー」と、周囲の声。

な、何?何なの?Mが来たらまずいの?
追われてるの?ケンカ中?呼び出されてる?・・・???

私はホントに心配になり、ひそかに耳をダンボにしておりました。
だって、本当に、真剣に心配しているみたいだったから…。



そこへ、「バタン!」とドアが開いて、
Mともうひとりの男子が入ってきました。
二人は笑いながら、中にいた男子に近づき、捕まえると・・・・・・



「タッチ!」








・・・・・・・・えーと、もしかして、もしかすると、
キミたち、鬼ごっこをしていたわけね^^;。


「鬼ごっこは外でやりなさーーーーい!!」

・・・って、
ここは中学なんだけど・・・。
# by noraneko_89 | 2007-02-01 22:23 | 日々の暮らし

あー、はいはい。

地方公務員の勤務時間が8時間切ってるぞ!とんでもねー、税金泥棒だ!公務員はクズばっかり!たたけ!つぶせ!排除せよ!!!

…ってことかな?
公務員いじめにも、もう慣れたけどね。

ちなみに、一地方公務員であるワタクシの
現在の勤務時間(定時)は8:30~17:15、45分の休憩時間
を除いてちょうど8時間。
えーと、休憩っていうのは、隣の席の人と私語を交わしたら
休憩なのかな?
トイレに行っている時間も休憩かな?
食事を口に入れて噛んでいる時間は休憩。
…なら、全部足せば、20分くらいはあるかな?
それでも、年間毎月残業何百時間という民間の方も
いられることを思えば、
労働時間は確かに少ないかもね。
だけど、残業手当はないよ。
どれだけ残業しても、最大、月に、2000円くらい?

あ、基本給が高すぎますか??

そーだねー、きっと公務員は、働いていないのに
不当に高額の給料をもらっているんだよね。
税金を「どろぼー」しているんだよね。

うちの職場の先生たちが、
平均して毎日10時間は職場にいるのも、
日銭何百円で、休日出勤して部活しているのも、
旅費自腹で(全額ではないけど)全国大会に行っているのも、
仕事用に使うパソコン(職場に置きっぱなし、当然ネット接続なんてなし)を
自腹で買うのがあたりまえになっているのも、
夜の夜中に、担任の生徒の親からの電話相談に
応じているのも
(しかも、夫婦生活の愚痴までぶちまけられながら…)、
水道止められちゃった家庭に、食料の差し入れ(当然自腹)
しているのも、
払ってもらえなかった給食費、みんなで穴埋めしたことも、
時間外の呼び出しに、文句もなく駆けつけていることも、
…ぜーんぶ含めても、私たちの働きは
みなさんから見ると、不満なのよね。
いじめがあるのも、自殺する子がいるのも、
全部私たちのせいなんだよね。

もうわかったから。

あと何をどの位すれば許してもらえるのか、
教えてよ。


・・・と叫びたくなるくらいに、
ストレスたまっているのがわかった、自分で。


愚痴でごめんなさい。
でも、「学校は!」「教師は!」「公務員は!!」
って、責められるの、
ほんとに…、もう、いい…。
# by noraneko_89 | 2007-01-08 00:01 | いい加減にしろ!