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卒業生の訪問

卒業生が遊びに来た。
ここで詳しいことを書くわけには行かないのだけれど、
本当に、まあ、蔭ながらいろいろあった卒業生。
今は、定時制の高校に通いながらアルバイトをしている。

去年卒業してから、何度か逢いにきてくれたけれども、
逢うたびに彼女は大人になっていて、
そのことに私が励まされる。

今日はこんなことを言っていた。
「私、結婚したくないんです。結婚して、養われるって、人の世話になって生きるって
なんだかイヤで、自分の力で生きて行きたいから・・・」

結婚するしないは、まぁともかく、
コレが、一年前には「大人になったら働かなきゃいけないから、大人になりたくない」
と言っていた女の子の言葉かと思うと、こちらは目を見張るばかり・・・。

お金がすべてではないけれど、「稼ぐ」「稼げる」という体験は
確実に彼女をエンパワーメントしてくれている。
自分の力で、自分が生きていくためのお金を稼ぐ・・・という実体験によって、
ものすごく、彼女は、自分自身とその力に自信を持つことが出来るようになっていっている。
・・・そのことが、私にとってはとてつもなく嬉しかった。


彼女の元担任が、顔を見に来てくれたとき、
保健室には「イロんな事情」の在校生たちが集まっていた。
「ほら、アンタも自分がしてもらったことを、
こういう後輩に還していかなくっちゃ」
何気なくそう言った元担任のコトバに、彼女は、
「うん、だって、今、私の夢は保健の先生になることですから」
と答えた。

「保健の先生になるには、二通りあって、看護師さんになってから
1年学校に行くか、高校出てから、その専門学校か短大に行くか・・・」
彼女は、そう話してくれた。
そのふたつがすべてではないけれど、本気で、きちんと、
調べていることがわかった。

「よく調べたね」
というと、
「保健の先生になるっていうの、私の初めての夢だから」
と、彼女は言ってくれた。


私はすごく嬉しかった。
いつもどこか刹那的で、エネルギーの持って行き場が見つからなくて
将来に絶望していたような彼女が、目標を持ってそこに向かっていこうと
思えるようになったこと、その力だけで、こちらが勇気づけられた。

実際に、彼女が養教になるかどうかは、まだ全然わからない。
こんなふうに、目標を持って、明るい、強い瞳で世の中を見ることが出来るようになったら、
他にもたくさん、楽しそうなことやしたいことを見つけられるだろうし、
そしてそっちに目標が移っていくことは全然かまわない。

ただ、そういう目を持つようになったきっかけが
『保健の先生になりたい』という思いであったこと、それを、
私は誇りに思うし、それより何より、とても、ありがたいと思った。
感謝したい気持ちだった。

彼女に恥じない養教でありたいと、
心からそう思ったな・・・。
by noraneko_89 | 2006-02-17 23:16 | そして、ありがとう


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